9月に起こりえる髪と頭皮トラブルについて
- sasakimasamitsu
- 20 時間前
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皆様こんにちは。広尾にある美容室HAIRSALON-Sです。
9月は“夏に受けた負荷の決算期”。紫外線・汗・皮脂・冷房・海やプール・生活リズムの乱れなどが、数週間〜数か月のタイムラグを経て髪と頭皮に現れます。さらに日照時間の短縮と朝晩の寒暖差が、皮膚機能と毛包のリズムに追加の揺さぶりをかけます。以下、症状別に「体の中と外で何が起きているか」を解説いたします。

1) 抜け毛が増える(秋の“季節性脱毛”)
毛周期のタイムラグ
髪は「成長期(2–6年)→退行期(2–3週間)→休止期(約3か月)」を回ります。夏の強い紫外線、熱ストレス、睡眠不足などで毛包がダメージを受けると、成長期の髪が休止期へ前倒しで移行。その“休止期の出口”がちょうど9〜10月に重なり、数か月遅れで抜け毛が増えたように見える現象が起きます。
日照時間の短縮による内分泌の揺れ
日が短くなるとメラトニン分泌の位相が変わります。メラトニンは睡眠だけでなく、皮膚や毛包にも受容体があり、成長期維持シグナルに関与します。季節の変わり目はこのシグナルがゆらぎ、休止期毛が相対的に増えることがあります。
酸化ストレスの後遺症
夏のUVA/UVBで毛包周辺の脂質やタンパクが酸化。微小炎症が続くと、毛乳頭への血流・成長因子の伝達が鈍り、成長期の短縮→細く短い毛が増える→9月に“抜け毛が増えた/ボリュームが減った”と感じやすくなります。
2) 頭皮の乾燥・かゆみ・フケ
バリア脂質の“洗い流され”と“酸化”
夏の汗+皮脂+シャンプー頻度増で、角層のセラミド・コレステロール・脂肪酸が不足しがち。さらに紫外線でスクアレンや皮脂が過酸化脂質へ変性。バリアが傷むと経皮水分蒸散(TEWL)が上昇し、つっぱり・微細ひび割れ→かゆみ神経(TRPV1等)が刺激されます。
冷房と秋風の二重乾燥
室内の低湿度で角層が乾き、屋外では風で表面水分が急速に蒸発。9月は汗量が減り始めるのに皮脂組成は夏モードが残り、保湿と防御のアンバランスが生じやすい時期です。
マラセチア(常在真菌)の代謝産物
皮脂豊富・バリア低下・pH変化が揃うと、マラセチアのリパーゼ活性で皮脂が分解→遊離脂肪酸が増えて刺激性が上昇。これが脂漏性皮膚炎タイプのフケ・赤み・かゆみの引き金になります。
3) 頭皮のにおい(酸化臭・汗臭)
皮脂の酸化=“におい分子”の生成
夏に増えた皮脂が9月の湿気・残暑で酸化し、**アルデヒド類(例:2-ノネナール)**などのにおい分子が生成。酸化皮脂は金属イオンや紫外線でさらに進み、古い油のような臭気を帯びます。
細菌の汗代謝
汗自体はほぼ無臭ですが、常在細菌(CorynebacteriumやStaphylococcus)が汗中成分を分解して短鎖脂肪酸・アンモニアなどを産生。**高湿+通気不良(帽子・ヘルメット)**が続いた頭皮では、これがにおいとして顕在化します。
4) 髪のパサつき・ツヤ低下・カラーの褪色
キューティクルの光・熱・機械ダメージ
UVBは毛髪タンパク(シスチン等)を分解してシステイン酸を増やし、キューティクルの浮き・欠損・多孔化を招きます。UVAはメラニンや染料のフォトフェードに強く関与。汗や海水で濡れた状態は光酸化が加速し、さらにタオル摩擦や結び目で機械的剥離が進行。9月には**ツヤの散乱(表面不整)**として一気に目立ちます。
塩素・金属イオンの残留
プールの塩素や銅イオンはキューティクルに結合しやすく、ざらつき・色ぶれの原因に。夏の蓄積が秋に手触り悪化として現れます。
5) うねり・広がり・まとまり低下
“多孔質化”で水を吸いやすい髪に
ダメージで内部がスポンジ化すると、空気中の水分を過剰に吸収。毛髪は吸水で径が膨張し、乾燥で収縮する「膨潤収縮サイクル(ハイグラル・ファティーグ)」を繰り返して微細な割れが増えます。9月は湿度が高めで、この膨潤が頻発→うねり・広がりとして顕在化します。
内部結合の偏り
水素結合が“湿度に引っ張られる”と、もともとのカールや生えぐせが強調され、まとまりが低下します。
6) 頭皮の赤み・ブツブツ(毛包性の炎症)
汗+皮脂+摩擦の“サウナ効果”
残暑の蒸れと帽子・マスク・前髪の接触で毛穴が閉塞気味になり、毛包周囲の炎症(毛包炎様の赤い点状)が起きやすくなります。Cutibacterium acnesの代謝と皮脂酸化が相乗して、ピリつき・熱感を伴うことも。
UV後の“サイレント炎症”
夏の紫外線で生じた微細DNA損傷やサイトカイン放出は、見た目の赤みがなくても数週間持続。バリアが弱った状態に9月の刺激(汗・整髪料・高頻度洗髪)が重なり、トリガー閾値を超えて発症します。
7) 触ると“きしむ”“引っかかる”
表面電荷と皮膜の劣化
キューティクルの欠損でマイナス電荷の露出が増えると、髪同士が引き寄せ合って絡まりやすくなります。夏に使ったスタイリング剤や紫外線でコーティング(皮膜)が分解し、滑走性が落ちることも“9月のきしみ感”の正体です。
8) 頭皮の“つっぱり感”と違和感
神経過敏(ニューロジェニック・イッチ)
乾燥や酸化脂質は知覚神経受容体(TRPV1/TRPA1等)を感作。わずかな温度差・汗・整髪料でも過敏にかゆみ・ピリつきを感じます。9月は朝晩の寒暖差がこの受容体を頻繁に刺激し、つっぱりや違和感として自覚されます。
9月は“外的ダメージの清算”+“体内リズムの切替”
夏の光・熱・湿度・摩擦の累積ダメージが、毛周期の遅延を伴って9月に表面化。
一方で季節変化によるホルモン・自律神経・皮膚常在菌叢のバランスも揺れ、乾燥・かゆみ・におい・うねり・ブツブツが同時多発しやすくなります。
つまり9月の不調は、**“夏の後遺症”ד秋のスイッチ”**という二重構造で症状が出るようです。
これらを踏まえ、9月はヘッドスパやトリートメントをしっかりとし、頭皮と髪を労わってあげるのが美髪をキープする秘訣だと思います。
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